「いつもお世話に…」は英語で何という?
電話をかける際、日本語の「もしもし」は英語では何というべきでしょうか?
もちろん訳せるわけがありません。英語では、すぐに「Hello,This is…」で会話が始まってしまうからです。
では「いつもお世話になっております」はどうでしょうか。これは本当に世話になっているかどうかとはまったく無関係の、「電話の際の挨拶はこういうもの」という慣習です。
当然こんな習慣は欧米にはありませんから、“I am very grateful to you.”などと言うべきではありません。英語によるビジネス電話は、必要な情報のやりとりだけで無駄なく進行することになっています。一般の英会話とは違った電話独自のマナーを覚えましょう。
翻訳すると素っ気ない
A:Good morning, Osaka Corporation.
B:Hello, this is Ieyasu Tokugawa from the Tokyo office.
May I speak to Mr. Hideyoshi Toyotomi, please?
A:Yes. I’ll put you through to Mr. Toyotomi.
・・・・・・・・・・
C:Yes, Hideyoshi Toyotomi speaking.
上記は、ある会社に電話をかけて担当者に電話をつないでもらう際の典型的な例です。
もしこれが日本人同士だと、
「はい。おはようございます。いつもお世話になっております。海山商事でございます」
「おはようございます。私、鳥川物産の鳩田と申します。いつも大変お世話になっております」
「いいえ、こちらこそお世話になっております」
「恐れ入りますが、磯野部長はご在席でいらっしゃいますでしょうか?」
「はい、ただいまおつなぎいたしますので少々お待ちくださいませ」
………
「はい、大変お待たせいたしました。磯野でございます」
文章にしてみると日本語の形式的な語句の多さにあらためて感心します。英語ではシンプル過ぎて素っ気なく感じるくらいがちょうどよいのですが。
英語の電話の決まり言葉
Speaking
誰かに電話を取り次いでもらった際「お待たせしました。〇〇です」に該当するのがこの語です。“Yes 〇〇 Speaking”が一番丁寧ですが、相手が「〇〇さんを呼んで」と言っているので電話に出るのは本人に決まっていますから、名前を省略して単 に“Speaking”だけでも構いません。
また、「〇〇さんをお願いします」といわれて「〇〇は私ですが」と答える場合も“Speaking”で通じます。
I’m afraid~
「あいにくですが…」「恐れ入りますが…」に該当するのが” I’m afraid”です。担当者が別の電話に出ていたり、外出中だった場合にこの言葉を使います。
“I’m afraid he’s on another line.”(恐れ入りますが、〇〇は別の電話に出ております)というような使い方です。なお、日本では公的な電話では「彼・彼女」ではなく苗字で呼びますが、英語では代名詞を使います。
Mr Ms
日本では自社の社員のことを役職に関わらず「田中」「山田」などと呼び捨てにするのが常識ですが、英語では冒頭の例のようにMr. ToyotomiなどMrやMsをつけるのが一般的です。組織と個人の関係が日本とは違うことを頭に入れておきしょう。
また、ビジネス英語では女性に対してMrsやMissで呼び分けず、Mrで統一します。