日常会話はもちろん、かなりレベルの高いビジネス英語を駆使できるというレベルの人でも、「非ネイティブの壁」を超えるのはなかなか難しいものです。
特に受験英語を経て文法の本質を理解せず丸暗記で上達してきた人には、どうしても越えられない一線が出てきます。
その一線を超えるためには、「なぜそうなるのか」「どういう意味があってこのような表現になるのか」といった核心に迫る勉強が必要となってくるでしょう。
英語上級者のために、さらに英語力に磨きをかけられるような特選の英文法解説書を3冊ほどご紹介したいと思います。
●英文法解説 江川 泰一郎
この本は、一般的な英語学習の教材というより「英語教育に携わる人のための教科書」というレベルの専門書となっています。
ネイティブスピーカーのビジネスマンと互角以上に渡り合うための、あるいは専門的な英語の原書を読もうというレベルの人にオススメの、英文法書としては日本最高水準にある書籍と いってよいでしょう。
この本が十分読みこなせ、自分の実力とできるところまで到達すれば、専門分野を持つ翻訳者レベルといっても過言ではありません。
●総合英語Forest 6th edition 石黒 昭博
「Forest」シリーズは文法学習に対して「理解すること」をテーマに書かれています。
英語学習の上級編ではでは文法を視覚的に、あるいは概念的に捉えることが重要となってきますが、本書ではイラストや概念図を豊富に添えて理解を深められるようになっています。
完全なネイティブになることは不可能にしても、日本人が本格的に英語に熟達するためには英文法の反復学習が欠かせないといわれています。
本書は決して「楽しい」とか「楽に覚えられる」といったようにはなっていませんが、何度もくりかえし反復学習し、そのたびに新しいものが得られるよう重厚で周到な構成が工夫されています。
何事も「基礎こそが重要だ」と言いますが、この本にはその言葉の意味と重さをあらためて認識させられます。
●ロイヤル英文法―徹底例解 綿貫 陽・須貝 猛敏・宮川 幸久・高松 尚弘
これは「英文法の百科事典」とも言うべき書籍です。
体系的に章立てされた目次を眺めているだけで英文法、あるいは英語というものの全体像をなんとなく俯瞰することもできますし、それぞれの章をひもとけば詳細で専門的な解説がなされています。
英語を専門的に理解しようとすると、その文法の構成の歴史的な経緯を知らないとなぜそうなっているのかがわからないということがよくあるのですが、本書はそうした疑問にも上手に答えてくれています。
「ひととおり英語については極めた。英文法についてもほとんどわからないことはない」というレベルに到達した人が手元に置き、必要に応じてページを繰る。本書はそういった使い方のために存在しているようです。