日本のニュースと世界のニュースは違う
日本では世界中の主要ニュースが報道されています。しかし日本で報道されていることと当事国で報道されていることの内容にはかなりのニュアンスの違いや温度差がしばしば生じています。
たとえばアベノミクスに対する評価や反応は国によって違いますし、日本と近隣諸国で問題になっている領土問題などについてもアメリカやイギリスはまったく異なった見方を持っています。しかしそのようなことは日本で報道されることはありません。
海外のニュースに接する重要性
たとえばアメリカのCNNやNew York Timesではイラクなど中東に関する話題を数多く取り上げています。日本でも報道されていますが、その量も内容も比較になりません。アメリカは中東問題の当事者であり、一部の国に派兵もしているという国内問題でもあるからです。
またイギリスの報道によればEU諸国は日露間、あるいは日中間、日韓間の領土問題についてかなり冷ややかに見ています。ヨーロッパは歴史上国境線を巡るトラブルや戦争を数限りなく繰り返してきているので、領土権に対する感覚が日本人とは大きく異なるからです。
ニュースは事実を客観的に伝えるのが原則ですが、実際には何を伝え何を伝えないか。どう伝えるかどこまで伝えるかによって変幻自在に意味が変化します。
日本国内の報道が正しいとか正しくないという問題ではなく、世界を客観的に知ろうと思えばどうしても海外のニュースサイトで情報収集する必要があるのです。
インターネット上の全情報の過半数が英語と中国語
「インターネットは全世界とつながっている」とよく言われますが、日本語による情報が占めるのはインターネット上の全情報の5%程度に過ぎません。
インターネット上の英語のシェアは30%弱。それに次いで中国語が20%強となっています。
そして国際的な情報発信力の高いニュースサイトはほとんど英語で占められています。日本語に翻訳されるのは、その一部なのです。
この事実から考えても「日本語サイトしか利用できない人はネット社会の狭い枠に閉じ込められている」ということがわかると思います。
共通語としての英語
アジア諸国では、母国語の他に英語を第二公用語と定めている国が数多くあります。こうしたインド、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどの人々は子供の頃から高い英語教育を受けており、英米とだけではなく互いに英語で自然にコミュニケーションを取りあうことができます。
もちろん国によって訛りがあり独自の表現が混じったりもしますが、国際共通語としてはそれで十分通じるのです。
日本人はネイティブ流の発音や言い回しにこだわりますが、その前にアジアの共通語としての実用性に着目し、「下手でも訛っていてもよいからとにかく使えるようになろう」という柔軟でポジティブな発想がもっと必要かもしれません。